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法月綸太郎『しらみつぶしの時計』 

しらみつぶしの時計しらみつぶしの時計
(2008/07/23)
法月 綸太郎

商品詳細を見る


「客観的」評価 :★★★★★★☆☆☆☆
   偏見評価 :★★★★★★★☆☆☆
  キーワード :アイロニー、論理パズル

     本格度 :★★★★★★
     ロジック :★★★★★★
     トリック :★★
     意外性 :★★★
     緊迫感 :★★★
    読み易さ :★★★★★★

<あらすじ>
無数の時計が配置された不思議な回廊。その閉ざされた施設の中の時計はすべて、たった一つの例外もなく異なった時を刻んでいた。すなわち、一分ずつ違った、一日二四時間の時を示す一四四〇個の時計――。正確な時間を示すのは、その中のただ一つ。夜とも昼とも知れぬ異様な空間から脱出する条件は、六時間以内にその“正しい時計”を見つけ出すことだった!? 神の下すがごとき命題に挑む唯一の武器は論理(ロジック)。奇跡の解答にはいかにして辿り着けるのか。極限まで磨かれた宝石のような謎、謎、謎! 名手が放つ本格ミステリ・コレクション!
(表紙折り返しより)

ノンシリーズの短編集。初読。

「使用中」
舞台は喫茶店及び○○○。
マニアで気難し屋の推理作家、非マニアで思ったことをすぐ口にしてしまう担当編集者。
そして妄想癖を持つウェイトレスの陰謀(?)により事件が……。
作家と編集者のかみ合わない会話がおもしろい。マニアって語っちゃうんだよねえ。このブログ然り(マニアと言うほど読んでないけど)、法月綸太郎然り。自虐ネタは法月綸太郎の芸風。
ラストも良いと思う。
ちょっとシュールな滑稽劇。良作。

「ダブル・プレイ」
交換殺人もの。
色々ひねってあるけど、ちょっと古臭い。夫婦間で起る犯罪、不倫という材料のせいかも。
一言で言うと、陳腐。

「素人芸」
仕事に疲れた暴力夫と、少し頭の悪い浪費妻、及び夫婦喧嘩の音ですぐ110番するKY隣人。
内緒で高価な腹話術人形を買ったことに腹を立てて、夫が妻を殺してしまう。
その音を聞いてKY隣人がまた警察を呼んでしまい、さあどうしよう、どう誤魔化そうという話。
方向性は「使用中」に近い滑稽劇、ブラック・ユーモア。出来ばえはこちらが劣るか。

「盗まれた手紙」
「暗号方式のひとつ、ディフィー‐ヘルマン鍵交換に対する、マン・イン・ザ・ミドル(中間者)攻撃の手順をミステリ仕立てにリライトした」ものらしい。
へぇー、そんな方法があるんだね。面白いな。
ホルヘ・ルイス・ボルヘス「死とコンパス」の前日談という体裁のパスティーシュとのことで、何か雰囲気出てる。「死とコンパス」を読みたくなった。
良作。

「イン・メモリアム」
長さ4ページのショート・ショート。
ラストでちょっと混乱。面白い。

「猫の巡礼」
ミステリではない。奇妙な味? 意味不明。

「四色問題」
都筑道夫「退職刑事」シリーズのパスティーシュ。ダイイング・メーッセージもの。
犯人に刺されて虫の息の被害者が、自分の手首を切った理由とは?
割と本気で考えながら読んでて、その間は面白かったんだけど、真相がちょっとな。拍子抜け。あっ、そ。

「幽霊をやとった女」
米ハードボイルドのパスティーシュ。(正確にはパスティーシュのパスティーシュらしいが)
真相の説明に少し無理があるけど、翻訳風文体が雰囲気出してていい。
「盗まれた手紙」も含めて、法月綸太郎の偽翻訳文体は好きだ。
それにしても動機で○○を使うのが好きだな。

「しらみつぶしの時計」
表題作。「二人称現在の実況スタイル」(例「きみは手にした時計をじっくりと観察する」)。論理パズルをミステリ仕立てにした感じ。
純粋な推理小説かという点に議論はあるかもしれないけど、これはすごい。


・1日24時間(=1440分)の時を示す1440個の時計がある(つまり、順番に並べれば、全ての時計が隣と正確に1分ずつずれている)。
・時計で注目すべきは、アナログ時計ならば長針・短針、デジタル時計ならば何時何分か、その時刻表示のみである。
・この中で正確に日本標準時を示している時計は1つしかない。その1個の時計とはどれか。解答は唯一である。
・あなたは1440個の中から、それをロジックにより特定できる。
・クレームを付けてゲーム無効を主張することはできない。

大略、たったこれだけの条件をもとに、候補を二つまで絞る手順があります(恐らく)。すごい、ちょっと感動。
最後の二者択一は別のヒントが必要で、そこがミステリ的。
たまらないカタルシス。
少し言いすぎかとも思うけど、傑作。

「トゥ・オブ・アス」
『二の悲劇』の原型。京大ミステリ研時代に書かれたらしい。
すごいと思うけど、書き方が良くないのか、イマイチ。


イマイチなものも多かったけど、表題作を読めただけでも買った価値はあったかなと思いました。


<印象文章>
「今回のゲームの要諦は論理。ただ論理のみが、きみの用いる武器だ。
 ロジックの導きに従えば、きみは唯一の正解にたどり着けるだろう。」

(書評:2)
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コメント

やはりやるな、お主

「使用中」だけは、別の短編集で読んだことがあるけど、シュールでおもしろかったな。
「しらみつぶしの時計」今度読んでみるよ。でも午前か午後もわからない状態で特定は不可能だろう、常識的に考えて・・・

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